

僕を育て上げたのは写真家の母で、家の中には本だの何だのが山のように積み上げられていた。何よりも本が、数多あるものの中でもとりわけ多く、そのほとんどは大きくて重い絵画集の類だった。我が家は展覧会の作品保管庫みたいだったけれど、厳密にはいったい何の展覧会なのか、当ててみることすら誰にもままならなかったろう。かなり印象深くて、僕がたびたび『読んだ』本、ポルノグラフィックな感じだったことが確かにその理由なのだけれども、そのうちの一冊は、1975年に出版された Masami Teraoka の McDonald's Hamburgers Invading Japan だった。ほかにも、1979年に出された 31 Flavors Invading Japan も僕は目にしてるんだと思う。そこに載っているイメージの数々をよく覚えているから ー あらゆるシーン、人種も文化もごちゃ混ぜになったありえない世界を描いた世界の、ありとあらゆるシーンがクールにまとめ上げられている感じで、それは驚くようなやり方だというのに、何もかもがわかり易くしっくりしていた。そうした、ありえない日本の風景に、近ごろでは Afro Samurai の人物たちや、クゥエンティン・タランティーノのSukiyaki Western Djangoで銃撃戦を繰り広げる平氏たちが描き加えられている。最近ふと、Iona Rozeal Brown の作品に出会った。伝統的な浮世絵の肖像画は、褐色の肌を持ち、ーまるでTeraoka作品のようにー 現代の小物で身を飾っている。作者はそれをこう呼んでいる、Afro Asiatic Allegoryと。